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​痛みの解説と鍼の効果

​まず痛みとはどういうものなのか?

痛み」には、切り傷や打撲による痛み、すぐ消失する痛みや長期間続く痛み、刺すような痛みや重だるい痛みなど、さまざまな種類の「痛み」があります。また、痛みを感じる部分も、腰、首、頭、足、背中など、いろいろです。「痛み」はとても不快な感覚です。まずは「痛み」のことを知って、「痛み」から解放されるにはどうすればよいか知ってみましょう。
「痛み」を感じることで、身体に何らかの異常や異変が生じていることに気づきます。もし、「痛い」という感覚がなかったら、危険を察知したり、回避することができず、ケガや病気を繰り返したり、命の危険につながることもあります。(交通事故などで脊髄損傷になった方で下半身麻痺などを起こした場合、感覚がなくなっているので「痛み」を感じることが出来なくなっていることがあります。それで、床ずれになっていることに気付かず、大変なことになることもあります。)「痛み」は、体温、呼吸、脈拍(心拍)、血圧と並んで、私たちが生きていることを示す“サイン(バイタルサイン)”ともいわれ、私たちの身体や命を守る、生命活動に欠かせない役割を持ちます。「痛み」は絶対悪ではなく、身体に「治療してくれ」や「体を休めてくれ」と言っている信号なんです。
しかし、なかには「生命活動に必要ではない痛み」もあります。必要以上に長く続く痛みや、原因がわからない痛みは、大きなストレスになり、不眠やうつ病など、ほかの病気を引き起こすきっかけにもなります。このような場合は「痛み」そのものが“病気”であり、治療が必要です。

「痛み」を感じるしくみとしては、切り傷や火傷、打撲などにより身体が刺激を受けると、「身体が傷ついた」という情報が発生します。その情報は電気信号に変換され、神経を伝って脳に届きます。脳がその情報を認識して初めて、「痛い」と感じるのです。
通常は、痛みの原因となったケガが治ると、痛みも消えていく事が多いです。

​痛みの犯人!発痛物質!!

❝痛みを起こす物質があります。
発痛物質は、いつも体内に少量ずつ存在し、この発痛物質は神経伝達物質として、神経から神経への情報を伝える重要な役割を担っています。
炎症が起きたり、体の組織が破壊されたりすると、発痛物質が細胞から大量に産出されて、
痛みの”犯人”となるわけです。

発痛物質は、アセチルコリンヒスタミンセロトニンブラジキニンカリウムなどがあります。

アセチルコリンは、収縮する刺激を筋肉に伝える作用があります。

ヒスタミンは皮膚の発痛物質の代表です。ジンマシンなどのかゆみの原因としても知られています。少量ならかゆみ、大量ならば痛みを発生させます。
セロトニンは血液中にある血小板からできていて、血液が固まるときに放出されて、損傷組織に接触すると痛みを発生させます。血栓症、心筋梗塞、くも膜下出血などの激しい痛みに関係する発痛物質です。

ブラジキニンは、炎症の痛みの主役であり、血液中の血漿からできています。
カリウムは細胞内にある重要な物質ですが、細胞外へ大量に流出するとたちまち痛みを引き起こします。例えば指を切ったとき、神経が切れた痛みに加えて、壊れた細胞からカリウムが放出されて、痛みを倍増させます。

さらに出血するとブラジキニンやセロトニンが遊離して、これらが一緒になって強い痛みを起こします。これがひどいと炎症になり、さらに悪循環になって発痛物質を増量させるため、痛みが長く続くわけです。❝

(引用:小林ペインクリニック東京)

​痛みには3つの種類があります!!

侵害受容性疼痛
ケガをするとその部分に炎症が起こり、痛みを起こす物質(プロスタグランジンやCox)が発生します。この物質が末梢神経にある「侵害受容器」という部分を刺激することで、脳が痛みを認識し、痛みを感じます。「侵害受容器」という部分を刺激することで痛みを感じるため、「侵害受容性疼痛」と呼ばれています。
神経障害性疼痛
何らかの原因により神経が障害され、それによって起こる痛みを「神経障害性疼痛」といいます。
帯状疱疹が治った後の長引く痛みや、糖尿病の合併症に伴う痛みやしびれ、坐骨神経痛、また脳卒中や脊髄損傷による痛みなどがあります。傷や炎症などが見えないにもかかわらず痛みがある場合には、神経が原因となっていることがあります。
心因性疼痛
神経障害性疼痛同様、傷や炎症などは見えません。不安や社会生活で受けるストレスなど、心理・社会的な要因で起こる痛みです。

​痛みの原因は炎症!!

痛みの原因は炎症が関係します。炎症が起こり痛みを起こす物質(プロスタグランジンやCox)が発生します。この物質が神経のある部分を刺激することで、脳が痛みを認識し、痛みを感じます。

​痛みがあるとどうなるか!!

痛みがあるとカラダはどういう反応をするのか?
それは、組織を硬くします。筋肉や皮膚、血管、筋腱、関節、靭帯などを硬くしていきます。例えば、”むち打ち”などを考えてみましょう。痛みがあれば、首を動かすことも困難で首が回らくなったりするでしょう。筋肉や関節もガチガチに固まってしまいます。
血管も固くなるので、血流も悪くなります。血管も”平滑筋”という筋肉でできています。
●炎症が起こる。
●発痛物質がでてくる(血管へ放出)。
●硬くなる(筋肉、皮膚、血管、筋腱、関節、靭帯など)。
●血流が悪くなる。
など同時に起こっているのです。こうなると、硬くなっていて血流が悪いために、発痛物質がそこにとどまり痛みは続いてします。

​痛みの感じ方

急性の痛み:急に痛くなり、短期間で治まる痛み
慢性の痛み:1~3ヶ月異常と長く続く痛み
痛みを感じる時に、痛みが伝わる速度でどういった状態かを分けることが出来る。
「激痛」や「刺すような痛み」「ズキズキ」「ジンジン」「チクチク」など様々あります。痛みの種類や痛みの度合いによって感じ方が違います。
それは、神経線維(神経細胞から延びる細長い突起)の形や太さ、伝導速度で分けられます。
●A-α線維:有髄、直径15μm、平均伝導速度100m/s、骨格筋や腱からの感覚、骨格筋の運動
●A-β線維:有髄、直径8μm、平均伝導速度50m/s、皮膚の触圧覚
●A-γ繊維:有髄、直径8μm、平均伝導速度20m/s、筋紡錘の錘内筋運動
●A-δ繊維:有髄、直径3μm、平均伝導速度15m/s、部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚
●B線維:有髄、直径3μm、平均伝導速度7m/s、交感神経の節前線維
●C線維:無髄、直径0.5μm、平均伝導速度1m/s、交感神経の節後線維、皮膚の温痛覚
感覚神経(求心性神経)
〇Ⅰa:有髄、直径15μm、平均伝導速度100m/s、筋紡錘
〇Ⅰb:有髄、直径15μm、平均伝導速度100m/s、腱器官
〇Ⅱ:有髄、直径9μm、平均伝導速度50m/s、筋紡錘、皮膚触圧覚
〇Ⅲ:有髄、直径3μm、平均伝導速度20m/s、部位が比較的明瞭な皮膚の温痛覚
〇Ⅳ:無髄、直径0.5μm、平均伝導速度1m/s、鈍痛、内臓痛
このことから考えると、伝導速度が速ければ速いほど神経線維が太く、さらに鞘によって保護されていれば早く伝導するということがわかる。(※有髄という髄は、髄鞘という鞘のこと)
上から順番に感じる速度は速いけど刺激が消えるのも速い特徴がある。下に行くと、遅くなる。痛みにおいてはA-δ繊維が急性期となり、C線維が慢性期となる。急性の痛みはA-δ繊維で慢性の痛みはC線維ということになる。慢性期の痛みの場合は、「だいたいこの辺が痛いです。」と範囲が広い。しかし、急性期の場合はピンポイントで「ここが痛い!」としっかりと示してくることが多い。

なんとなくでも痛みの原因がわかってもらえたでしょうか?

​鍼治療はどうして効くのか?

​西洋医学では、薬や外科的処置により痛みを感じる経路を遮断することによって痛みを抑えています。鍼鎮痛では、鍼で体を刺激することによって、もともと体に備わっている鎮痛能力を活発化させることにあります。では、いったい鍼を刺すと身体にはどういった反応が起こるか説明します。なぜ鍼治療が効果があるのか。それを知ると、鍼治療が効果があることがわかります。

①血流増加:鍼治療によって血流量は増加し、症状の緩解や機能回復に役立ちます。

血流は、心臓や循環器作用によって常に動いています。
鍼刺激により治療箇所の血液の量が増加するというのはどのようにして起きているかというと、血管の断面積を変化させることで血流量を増加させています。鍼を刺して血管が緩み、その場所での血液の流れる量を増やしています。

また筋肉内の血流が改善され細胞の働きが活発になります。鍼によって、皮膚~筋肉に「小さな傷」を付けると、身体は傷ついた組織を修復したり、細菌等の感染から患部を守るために、患部周辺の血流量を増やし、細胞に栄養(タンパク質など)や赤血球(酸素)や白血球(免疫)を多く運ぶようになります。
結果として、患部だけでなく、患部を中心とした広範囲で、細胞の活性化(細胞分裂)が盛んになり、機能回復が促進されます。

②止痛:鍼治療によって止痛され、症状の緩解や日常生活の改善に役立ちます。

脳下垂体などで内因性鎮痛物質(モルヒネ様物質)を産生し痛みを緩和させることが明らかになっています。『鎮痛物質』のエンドルフィンセロトニンなどは痛みを抑えてくれます。こいった体内麻薬を利用して痛みを緩和させています。β-エンドルフィンは、『モルヒネ』の6.5倍~200倍(文献によって違うので)と言われています。

β-エンドルフィンは多幸感をもたらしてくれ、落ち着きや安心感ももたらしてくれます。

③抗炎症作用(こうえんしょうさよう):鍼治療によって抗炎症作用が起こることで、症状の回復や改善、健康の促進に役立ちます。

お薬と違い副作用がなく炎症を抑制してくれます。

鍼治療を行うと、その刺激が迷走神経(頸部胸部内臓、一部は腹部内臓に分布していて、感覚・運動・分泌に関与している。)に影響を与え、サイトカイン(免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、標的細胞は特定されない情報伝達をするもの。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。)の減少(抗炎症作用)をもたらします。この機序には副腎からのカテコールアミン(特にドーパミン)が大きくかかわり、大脳基底核のドーパミン受容体をターゲットにし全身性の炎症を抑制していくと考えられています。

神経系の調整:鍼治療によって神経系を調節することで、症状の緩和や日常生活の改善、健康促進(身体や精神など)にも役立ちます。

①、②、③での説明なのかで、血流を増やしたりするのも神経が必要です。痛みを感知し、緩和させるのも神経系の調節が必要です。炎症を抑制するのも必要になってきます。鍼治療によって、自律神経(交感神経、副交感神経)の調整は行われています。

これら①~④は同時に行われています。鍼治療は、同時に行われることで症状を変化させることが期待できます。神経系の調整やβ-エンドルフィンなどで多幸感を出したり、炎症を抑制したり、血流を改善することで長期治療を行っていると、自然とカラダが変化していきます。これが体質改善ということになります。

​『得気』(鍼のひびき)とは?

鍼治療を行った時に、「だるい、腫れぼったい」などの患者さん自身が感じる感覚で、鍼を刺した時とは違った感覚を得気(鍼のひびき)といいます。

指先、足先などは痛く感じますが、腕や足などは、だるい・腫れぼったい・重だるい・しびれる・皮膚の深くに感じる痛みなどの感覚があります。頭や顔、お腹などは、押されて圧迫されたような深部にひびく感覚があります。また、腰背部などは、だるく張った感じの感覚があります。

※この得気がある方が、神経に作用し痛みなどの症状を緩解させてくれます。治療に必要な感覚になります。

世界保健機構(WHO)でも効果が認められています

鍼灸の効果は世界保健機構(WHO)でも認められています。西洋医療と東洋医療を並行して受けることで治療効果を相乗的により高い効果を出す治療として「統合治療」と呼ばれるようになっています。欧米では、がん患者の終末期の疼痛緩和治療にも、鍼治療が「代替医療」として行われています。

​世界保健機構(WHO)に認められている鍼灸治療効果

神経系:神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

運動器系:関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

循環器系:心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

 

呼吸器系:気管支炎・喘息・風邪および予防

 

消化器系:胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

 

代謝内分秘系:バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

 

生殖、泌尿器系:膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

 

婦人科系:更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

 

耳鼻咽喉科系:中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

 

眼科系:眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

 

小児科系:小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

※上記疾患のうち「神経痛・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腰痛」は、日本においては、鍼灸の健康保険の適用が認められています。その場合は鍼治療を行ってよいという医師の『同意書』が必要になります。(詳しくは096-367-7586までお問い合わせください。)
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